戸建ての売却を検討する際、「税金はいくらかかるのか」「どうすれば節税できるのか」は多くの方が気になるポイントです。戸建ての売却では、譲渡所得税や印紙税など複数の税金が発生しますが、3,000万円特別控除をはじめとする節税制度を正しく活用すれば、税額を大幅に抑えられる可能性があります。
本記事では、戸建て売却にかかる税金の種類から計算方法、ケース別の税額シミュレーション、さらに2026年最新の税制情報を踏まえた節税方法まで徹底解説します。
戸建て売却にかかる税金の種類【2026年最新】

戸建てを売却すると、主に以下の4種類の税金がかかります。なかでも金額が大きくなりやすいのが「譲渡所得税」です。
譲渡所得にかかる税金(所得税・住民税・復興特別所得税)
戸建ての売却で利益(譲渡所得)が出た場合、その利益に対して所得税・住民税・復興特別所得税が課されます。これらをまとめて「譲渡所得税」と呼ぶことが一般的です。
譲渡所得税は給与所得などとは分けて計算される「分離課税」です。税率は物件の所有期間によって大きく異なります。
| 区分 | 所得税 | 住民税 | 復興特別所得税 | 合計税率 |
| 短期譲渡所得(5年以下) | 30% | 9% | 0.63% | 39.63% |
| 長期譲渡所得(5年超) | 15% | 5% | 0.315% | 20.315% |
※復興特別所得税は2037年(令和19年)12月31日まで、所得税額の2.1%が上乗せされます。なお、2027年1月以降は防衛財源確保のため税率が1.1%に引き下げられ、課税期間が延長される予定です(2026年度税制改正大綱)。
ポイント:所有期間5年を境に税率が約2倍変わります。売却時期を調整できる場合は、5年超の長期譲渡所得となるタイミングを狙うのが基本的な節税戦略です。なお、所有期間は「売却した年の1月1日時点」で判定される点に注意してください(詳しくはFAQで解説します)。
売買契約書にかかる印紙税
不動産の売買契約書には、契約金額に応じた収入印紙を貼付する必要があります。印紙税は売主・買主がそれぞれ1通ずつ契約書を作成する場合、各自が負担するのが一般的です。
現在、不動産売買契約書の印紙税には軽減措置が適用されており、2027年(令和9年)3月31日までに作成された契約書が対象です。
| 契約金額 | 本則税率 | 軽減税率 |
| 100万円超〜500万円以下 | 2,000円 | 1,000円 |
| 500万円超〜1,000万円以下 | 1万円 | 5,000円 |
| 1,000万円超〜5,000万円以下 | 2万円 | 1万円 |
| 5,000万円超〜1億円以下 | 6万円 | 3万円 |
| 1億円超〜5億円以下 | 10万円 | 6万円 |
なお、電子契約(電磁的記録)で売買契約を締結した場合、印紙税はかかりません。2022年の宅建業法改正により、不動産売買契約の電子化が可能になりました。
抵当権抹消登記にかかる登録免許税
住宅ローンが残っている戸建てを売却する場合、抵当権を抹消するための登記が必要です。登録免許税は不動産1件につき1,000円で、戸建ての場合は土地と建物で2件分、合計2,000円が一般的です。
なお、抵当権抹消登記を司法書士に依頼する場合は、別途1万〜2万円程度の報酬が必要です。
仲介手数料等にかかる消費税
戸建ての売却にあたって発生する各種サービスの対価には、10%の消費税がかかります。
- 不動産会社への仲介手数料
- 司法書士への報酬
- 土地家屋調査士への報酬(測量が必要な場合)
ただし、個人が売主となる場合、建物の売却価格自体には消費税はかかりません(事業者が売主の場合は課税対象)。
戸建て売却の税金の計算方法【シミュレーション付き】
戸建て売却で最も大きな税金となる譲渡所得税の計算方法を、戸建て特有のポイントを踏まえて解説します。
譲渡所得の計算式
譲渡所得税の基本計算式は以下のとおりです。
| 項目 | 内容 |
| 譲渡価額 | 売却代金(固定資産税の精算金を含む) |
| 取得費 | 物件の購入代金から減価償却費を差し引いた金額+購入時の諸費用 |
| 譲渡費用 | 売却のために直接かかった費用(仲介手数料、印紙税、測量費等) |
取得費に含められる主な費用:
- 土地・建物の購入代金
- 購入時の仲介手数料
- 登記費用(登録免許税・司法書士報酬)
- 不動産取得税
- 購入時の印紙税
- 増改築・リフォーム費用
譲渡費用に含められる主な費用:
- 売却時の仲介手数料
- 売買契約書の印紙税
- 建物の取り壊し費用(更地にして売却する場合)
- 測量費
- 立退料
戸建て特有の計算ポイント
戸建ての譲渡所得計算では、マンションとは異なる以下の点に注意が必要です。
木造住宅の減価償却
建物は経年により価値が下がるため、購入価格から「減価償却費」を差し引いて取得費を計算します。
※減価償却費の上限は建物購入価格の95%です。
戸建てで多い木造住宅の場合、非事業用(マイホーム)の耐用年数は33年、償却率は0.031です。
| 建物構造 | 非事業用の耐用年数 | 償却率 |
| 木造 | 33年 | 0.031 |
| 木骨モルタル造 | 30年 | 0.034 |
| 鉄骨鉄筋コンクリート造 | 70年 | 0.015 |
| 金属造(骨格材の肉厚4mm超) | 34年 | 0.030 |
| 金属造(骨格材の肉厚3mm超4mm以下) | 27年 | 0.038 |
土地と建物の按分計算
戸建ての取得費を計算する際は、土地と建物の価格を分けて考える必要があります。減価償却は建物部分のみに適用され、土地は減価償却しません。
購入時の売買契約書に土地・建物の内訳が記載されていない場合は、以下の方法で按分します。
- 固定資産税評価額の比率で按分する(最も一般的)
- 建物の標準建築単価から建物価格を算出し、残りを土地価格とする
所有期間別の税率
譲渡所得に適用する税率は、所有期間によって異なります。
| 区分 | 条件 | 所得税 | 住民税 | 復興特別所得税 | 合計 |
| 短期譲渡所得 | 5年以下 | 30% | 9% | 0.63% | 39.63% |
| 長期譲渡所得 | 5年超 | 15% | 5% | 0.315% | 20.315% |
| 10年超所有の軽減税率※ | 10年超(6,000万円以下部分) | 10% | 4% | 0.21% | 14.21% |
※10年超の軽減税率は3,000万円特別控除と併用可能です(節税方法のセクションで詳しく解説)。
【ケース別】税額シミュレーション
具体的な戸建ての売却ケースで、税額がどのくらいになるかシミュレーションしてみましょう。
ケース1:築15年の木造戸建てを4,000万円で売却(3,000万円控除で税額0円)
| 項目 | 金額 |
| 売却価格 | 4,000万円 |
| 購入価格 | 3,000万円(建物1,500万円+土地1,500万円) |
| 購入時諸費用 | 150万円 |
| 所有期間 | 15年(長期譲渡所得) |
計算手順:
STEP1. 建物の減価償却費を計算
1,500万円 × 0.9 × 0.031 × 15年 = 約628万円
STEP2. 取得費を算出
建物取得費:1,500万円 − 628万円 = 872万円
取得費合計:872万円 + 1,500万円(土地)+ 150万円(諸費用)= 2,522万円
STEP3. 譲渡費用を算出
仲介手数料:(4,000万円 × 3% + 6万円)× 1.1 = 約139万円
印紙税:1万円
譲渡費用合計:約140万円
STEP4. 譲渡所得を計算
4,000万円 −(2,522万円 + 140万円)= 1,338万円
STEP5. 3,000万円特別控除を適用
1,338万円 − 3,000万円 = マイナス → 課税譲渡所得0円
ケース2:築12年の木造戸建てを8,000万円で売却(10年超の軽減税率適用)
| 項目 | 金額 |
| 売却価格 | 8,000万円 |
| 購入価格 | 4,000万円(建物2,000万円+土地2,000万円) |
| 購入時諸費用 | 200万円 |
| 所有期間 | 12年(長期・10年超) |
計算手順:
STEP1. 建物の減価償却費を計算
2,000万円 × 0.9 × 0.031 × 12年 = 約670万円
STEP2. 取得費を算出
建物取得費:2,000万円 − 670万円 = 1,330万円
取得費合計:1,330万円 + 2,000万円(土地)+ 200万円(諸費用)= 3,530万円
STEP3. 譲渡費用を算出
仲介手数料:(8,000万円 × 3% + 6万円)× 1.1 = 約271万円
印紙税:3万円
譲渡費用合計:約274万円
STEP4. 譲渡所得を計算
8,000万円 −(3,530万円 + 274万円)= 4,196万円
STEP5. 3,000万円特別控除を適用
4,196万円 − 3,000万円 = 1,196万円(課税譲渡所得)
STEP6. 10年超軽減税率を適用
1,196万円 × 14.21%(6,000万円以下部分)= 約170万円
※もし通常の長期譲渡税率(20.315%)を適用した場合は約243万円。10年超の軽減税率により約73万円の節税になります。
ケース3:相続した築35年の木造戸建てを3,000万円で売却(取得費不明の場合の影響)
取得費がわかるかどうかで、税額が大きく変わるケースです。
| 項目 | 金額 |
| 売却価格 | 3,000万円 |
| 被相続人の購入価格 | 2,500万円(建物1,500万円+土地1,000万円)※パターンAのみ |
| 所有期間 | 被相続人の所有期間を引き継ぎ(長期) |
| 居住状況 | 相続後は空き家(3,000万円控除は適用しないケースで比較) |
パターンA:取得費の書類が見つかった場合
減価償却費:1,500万円 × 0.9 × 0.031 × 33年(耐用年数上限)= 約1,381万円
建物取得費:1,500万円 − 1,381万円 = 119万円
取得費合計:119万円 + 1,000万円(土地)+ 125万円(諸費用)= 1,244万円
譲渡費用:約107万円
譲渡所得:3,000万円 −(1,244万円 + 107万円)= 1,649万円
税額:1,649万円 × 20.315% = 約335万円
パターンB:取得費が不明(概算取得費5%を適用)の場合
概算取得費:3,000万円 × 5% = 150万円
譲渡費用:約107万円
譲渡所得:3,000万円 −(150万円 + 107万円)= 2,743万円
税額:2,743万円 × 20.315% = 約557万円
取得費がわからない場合の対処法
親や祖父母から相続した戸建てなど、築年数が古い物件では購入時の書類が残っておらず、取得費がわからないケースが少なくありません。上のシミュレーションで示したとおり、取得費の有無は税額に大きく影響するため、できる限り実額に近い取得費を把握することが重要です。
概算取得費(5%ルール)の仕組みとデメリット
取得費がまったく不明な場合、売却価格の5%を「概算取得費」として使用できます(租税特別措置法第31条の4)。
たとえば3,000万円で売却した場合、概算取得費は150万円です。実際の購入価格がこれを上回っていた場合でも、書類で証明できなければ概算取得費を使うことになります。
概算取得費のデメリット:
- 売却額の95%が譲渡所得として課税対象になる
- 実際の購入価格が売却価格を上回っていた(=本来は損失)場合でも、多額の税金が発生する可能性がある
取得費に含められる費用の一覧
取得費は「土地・建物の購入代金」だけではありません。以下の費用も取得費に加算できます。書類が一部でも残っていれば、概算取得費より有利になる可能性があります。
| 費用項目 | 具体例 |
| 購入代金 | 売買契約書に記載された金額 |
| 仲介手数料 | 購入時に不動産会社に支払った手数料 |
| 登記費用 | 所有権移転登記の登録免許税・司法書士報酬 |
| 不動産取得税 | 購入後に課された税金 |
| 印紙税 | 購入時の売買契約書に貼付した印紙代 |
| 増改築・リフォーム費用 | 資本的支出に該当するもの(修繕費は除く) |
| 測量費 | 購入時に実施した測量費用 |
| 解体費用 | 土地を購入するために古い建物を解体した場合 |
その他の推計方法
概算取得費より有利な取得費を推計する方法もあります。ただし、いずれも税務署との交渉が必要になるケースがあるため、税理士への相談を推奨します。
1. 市街地価格指数による推計
一般財団法人 日本不動産研究所が公表する「市街地価格指数」を使い、購入時の土地価格を推計する方法です。概算取得費よりも実際の購入価格に近い金額を算出できる可能性がありますが、すべてのケースで税務署に認められるわけではありません。
2. 不動産鑑定士による評価
不動産鑑定士に依頼して購入時の価格を鑑定してもらう方法です。鑑定費用(30万〜50万円程度)がかかりますが、取得費の推計額が大きい場合は費用対効果があります。
3. 一般的な建築単価からの推計
国土交通省の「建築統計年報」に記載されている建築単価を用いて、建築年の建物価格を推計する方法です。
税理士に相談すべきケース:
- 概算取得費(5%)を使うと税額が100万円を超える場合
- 相続した不動産で購入時の書類がまったく残っていない場合
- 売却価格が高額(3,000万円超)な場合
戸建て売却で使える節税方法8選
戸建ての売却では、以下の8つの方法で税金を抑えることができます。
(1) 3,000万円特別控除を適用する
自宅(居住用財産)を売却した場合、譲渡所得から最大3,000万円を控除できる制度です。所有期間の長短を問わず適用でき、戸建て売却における最も効果的な節税方法です。
主な適用要件:
- 自分が住んでいた家屋であること(住まなくなった日から3年後の年末までに売却)
- 売主と買主が親子・夫婦など特別な関係でないこと
- 売却した年の前年・前々年にこの特例の適用を受けていないこと
- 買い換え特例の適用を受けていないこと
適用できないケース:
- 別荘やセカンドハウスの売却
- 前回の適用から3年以内の再利用
- 住宅ローン控除との併用(売却年と翌年以降2年間)
(2) 10年超所有の軽減税率特例を活用する
所有期間が10年を超える居住用財産を売却した場合、譲渡所得のうち6,000万円以下の部分について税率が14.21%に軽減されます(通常の長期税率20.315%より約6%低い)。
| 課税譲渡所得 | 税率 |
| 6,000万円以下の部分 | 14.21%(所得税10%+住民税4%+復興特別所得税0.21%) |
| 6,000万円超の部分 | 20.315%(通常の長期税率) |
この特例は3,000万円特別控除と併用可能です。ケース2のシミュレーションのように、3,000万円控除を適用した後の残りの譲渡所得に軽減税率を適用できます。
(3) 特定居住用財産の買い換え特例を利用する
令和9年(2027年)12月31日までの譲渡について、一定の要件を満たす住み替え(買い換え)を行った場合、売却時の譲渡所得に対する課税を将来に繰り延べることができます。税金がなくなるわけではなく、買い換えた住宅を将来売却するときまで課税が先送りされる制度です。
主な適用要件:
- 売却代金が1億円以下
- 売却物件の居住期間が10年以上かつ所有期間が10年超
- 買い換え先の床面積が50㎡以上、土地面積が500㎡以下
- 売却した年の前年から翌年までの3年間に買い換えること
※3,000万円特別控除・軽減税率の特例とは併用できません。どちらが有利かは売却益の額によって異なります(FAQで比較ポイントを解説)。
(4) 相続空き家の3,000万円特別控除を活用する
相続または遺贈で取得した家屋(被相続人が一人で住んでいた家)を売却した場合に、最大3,000万円を控除できる制度です。通常の3,000万円控除(上記(1))とは別の制度であり、相続人が住んでいなくても適用可能な点が大きな違いです。
主な適用要件:
- 1981年(昭和56年)5月31日以前に建築された家屋(旧耐震基準)
- 相続開始の直前まで被相続人が一人で居住していたこと
- 相続日から起算して3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却
- 売却価格が1億円以下
- 耐震リフォーム済み、または更地にして売却すること
※2024年1月1日以降の譲渡については、相続人が3人以上いる場合は控除額が2,000万円に縮小されました。
(5) 取得費加算の特例を使う
相続した戸建てを相続税の申告期限から3年以内(相続開始日の翌日から3年10か月以内)に売却した場合、支払った相続税額の一部を取得費に加算できる特例です。
相続税を支払った方が対象で、取得費が増える=譲渡所得が減る=税金が減るという仕組みです。
※相続空き家の3,000万円控除(4)とは併用できません。相続税額が大きい場合はこちらが有利になるケースもあるため、比較検討が必要です。
(6) 売却損が出た場合の損益通算・繰越控除
令和9年(2027年)12月31日までの譲渡について、戸建てを購入価格より低い価格で売却した場合(=譲渡損失が発生した場合)、一定の要件を満たせば、その損失を給与所得など他の所得と相殺(損益通算)できます。さらに、その年で相殺しきれなかった損失は翌年以降最大3年間繰り越して控除できます。
対象となる2つの制度:
| 制度名 | 要件 |
| 居住用財産の買換えの場合の譲渡損失の損益通算・繰越控除 | 新居を購入(買い換え)すること。新居に10年以上の住宅ローンがあること |
| 特定居住用財産の譲渡損失の損益通算・繰越控除 | 売却する住宅に住宅ローン残債があること。買い換えは不要 |
損益通算を行うと所得税・住民税が還付される可能性があるため、売却損が出た場合でも確定申告をすることをおすすめします。
(7) 売却タイミングを工夫する
売却時期を調整することで、合法的に税額を抑えられるケースがあります。
所有期間の境目に注意:
- 5年の境目:短期(39.63%)→ 長期(20.315%)で税率が約半分に
- 10年の境目:長期(20.315%)→ 軽減税率(14.21%)でさらに軽減
所有期間は「売却した年の1月1日時点」で判定されるため、実際の所有年数とはズレが生じます。たとえば2020年4月に購入した物件は、2026年1月1日時点で5年8か月ですが、「5年超」と判定されるのは2026年1月1日以降の売却です。
年末・年始の売却タイミング:
- 12月末に売却するよりも翌年1月に売却するほうが、所有期間が1年長くカウントされる
- 境目に近い時期は、1〜2か月待つだけで税率区分が変わる可能性がある
(8) 電子契約で印紙税を0円にする
2022年5月の宅建業法改正により、不動産売買契約の電子化が可能になりました。電子契約で締結した場合、印紙税は課税されません(印紙税法上、電磁的記録は「文書」に該当しないため)。
| 契約金額 | 紙の契約書(軽減税率) | 電子契約 | 節税額 |
| 1,000万円超〜5,000万円以下 | 1万円 | 0円 | 1万円 |
| 5,000万円超〜1億円以下 | 3万円 | 0円 | 3万円 |
節税額は大きくありませんが、対応している不動産会社であれば利用を検討する価値があります。
戸建て売却後の確定申告のポイント
戸建て売却後の確定申告について、重要なポイントを整理します。
確定申告が必要なケース・不要なケース
| ケース | 確定申告 |
| 譲渡所得が発生した(利益が出た) | 必須 |
| 3,000万円控除で税額0円になった | 必須(特例の適用には確定申告が必要) |
| 軽減税率・買い換え特例を適用したい | 必須 |
| 売却損が出て損益通算したい | 必要(しないと還付を受けられない) |
| 売却損が出て損益通算しない | 不要(ただし申告した方が有利な場合あり) |
注意:3,000万円控除で税額が0円になっても、確定申告は必要です。申告しないと特例が適用されず、後から課税される可能性があります。
必要書類と申告の流れ
確定申告の時期は、売却した翌年の2月16日〜3月15日です。以下の書類を準備しましょう。
主な必要書類:
- 確定申告書B・第三表(分離課税用)
- 譲渡所得の内訳書
- 売買契約書のコピー(売却時・購入時)
- 登記事項証明書
- 仲介手数料の領収書
- 取得費・譲渡費用の証明書類
- 特例適用に必要な書類(住民票、戸籍附票等)
申告は、e-Tax(電子申告)、郵送、税務署への直接提出のいずれかで行えます。e-Taxを利用すれば自宅からオンラインで申告でき、マイナポータルとの連携で一部書類の自動取得も可能です。
申告しなかった場合のペナルティ
確定申告の期限を過ぎてしまうと、以下のペナルティが課される可能性があります。
| ペナルティ | 内容 |
| 無申告加算税 | 納付すべき税額の15%〜30%が加算(50万円以下:15%、50万円超300万円以下:20%、300万円超:30%) |
| 延滞税 | 法定期限の翌日から納付日まで年利で加算(本則:年7.3%〜14.6%、2026年の適用税率:年2.6%〜8.9%) |
| 重加算税 | 意図的に申告しなかった場合、最大40%が加算 |
期限に遅れても、自主的にできるだけ早く申告することが重要です。期限後申告でも、一定の要件を満たせば無申告加算税が5%に軽減されます。
戸建て売却の税金に関するよくある質問
所有期間はどのように計算するのですか?
所有期間は、売却した年の1月1日時点で「取得日からの経過年数」が5年を超えているかどうかで判定されます。実際の所有年数ではない点に注意してください。たとえば、2020年4月購入→2026年3月売却の場合、2026年1月1日時点で5年8か月なので長期譲渡所得になります。一方、2021年6月購入→2026年3月売却は、2026年1月1日時点で4年6か月なので短期譲渡所得です。なお、相続で取得した場合は被相続人の取得日を引き継ぎます。
戸建てを売却して損失が出た場合、税金は還付されますか?
はい、一定の要件を満たせば所得税・住民税の還付を受けられる可能性があります。居住用財産の譲渡損失については、給与所得等との損益通算が認められており、確定申告を行うことで税金が還付されます。さらに、1年で控除しきれなかった損失は翌年以降最大3年間繰り越して控除できます。ただし、損益通算を行うには確定申告が必要です。
相続した戸建てを売却する場合、取得費はどうなりますか?
相続で取得した不動産の取得費は、被相続人(亡くなった方)の購入価格を引き継ぎます。相続時の時価(相続税評価額)ではありません。たとえば、父が30年前に2,000万円で購入した戸建てを相続した場合、取得費の基準は2,000万円(から減価償却費を差し引いた金額)です。購入時の書類が残っていない場合は、概算取得費(5%ルール)や市街地価格指数による推計方法を検討してください。なお、相続税を支払っている場合は「取得費加算の特例」が使える可能性があります。
住み替えの場合、3,000万円控除と買い換え特例はどちらが有利ですか?
一般的に、譲渡所得が3,000万円以下なら3,000万円控除、3,000万円を超える場合は買い換え特例の方が有利になるケースが多いです。3,000万円控除は税額そのものが減りますが、買い換え特例は課税を将来に繰り延べるだけです。また、3,000万円控除は軽減税率特例と併用可能ですが、買い換え特例とは併用不可です。いずれも住宅ローン控除との併用はできません。判断に迷う場合は税理士への相談をおすすめします。
戸建て売却の税金について税理士に相談すべきケースは?
以下のケースでは税理士への相談をおすすめします。取得費が不明で概算取得費(5%ルール)を使うことになりそうな場合、譲渡所得が3,000万円を超える高額な売却の場合、相続した不動産の売却で複数の特例から最適なものを選びたい場合、事業用の一部が含まれる戸建て(自宅兼事務所など)を売却する場合などです。税理士報酬は一般的に10万〜30万円程度ですが、取得費の推計や特例の選択次第で数百万円の節税につながるケースもあります。
まとめ
戸建ての売却にかかる税金について、要点を整理します。
- 戸建て売却では主に譲渡所得税(所得税・住民税・復興特別所得税)、印紙税、登録免許税、消費税の4種類の税金がかかる
- 税額に最も大きく影響するのは譲渡所得税で、所有期間5年を境に税率が約2倍変わる
- 木造戸建ての減価償却(償却率0.031)や土地と建物の按分計算は、正確な税額計算に不可欠
- 3,000万円特別控除を適用すれば、多くのケースで税額を0円にできる
- 取得費がわからない場合は概算取得費(5%ルール)が適用されるが、税額が大幅に増えるリスクがある
- 3,000万円控除以外にも、軽減税率・買い換え特例・損益通算など複数の節税方法が利用可能
- 3,000万円控除で税額0円になっても、確定申告は必ず行う必要がある
戸建ての売却は人生でそう何度もない大きな取引です。少しでも手元に残る金額を増やすために、本記事で紹介した節税制度を最大限活用しましょう。特に取得費の書類確認や適用可能な特例の確認は、売却前の早い段階から準備しておくことが大切です。

